2024年 春
シカクいアタマをマルくする。
国語科
解答
- [喜び・嬉しい気持ち]エ、オ、ク、サ
- [悲しい気持ち]イ、キ、ケ、コ
- [憎しみ・怒り]ア、ウ、カ、シ
解説
各言葉のそれぞれの意味は、以下の通りです。
ア「憤る」は、激しく怒ること。
イ「憂い顔」は、物思いに沈んだ悲しげな顔つき。
ウ「仏頂面」は、機嫌の悪そうな、無愛想な顔。
エ「満悦」は、とても喜んで、満足すること。
オ「有頂天」は、うれしくて、気分が舞い上がっている状態。
カ「立腹」は、腹を立てること。
キ「不憫」は、あわれでかわいそうだという気持ち。
ク「華やか」は、明るく美しいさま。
ケ「断腸の思い」は、腸(はらわた)がちぎれるほどの強い悲しみ。
コ「哀愁」は、どことなくただよう、しみじみと物悲しい感じ。
サ「心が躍る」は、期待などで気持ちがわくわくすること。
シ「癪に障る」は、気に入らないことがあって気持ちがむしゃくしゃすること。
以上より、「喜び・嬉しい気持ち」を表す言葉はエ、オ、ク、サ、「悲しい気持ち」を表す言葉はイ、キ、ケ、コ、「憎しみ・怒り」を表す言葉はア、ウ、カ、シとなります。
日能研東海がこの問題を選んだ理由
私たちは無意識のうちに感情を表す言葉をその場の状況に合わせて選択し、使用しています。したがって、問いに向かい合う際、自分自身がどのような場面でどのような言葉を使用しているかを思い浮かべてみる必要があります。たとえ、思い浮かべられなかったとしても、使われている漢字から意味を類推してみることが大切です。たとえば、語群の「ケ」は「腸」を「断(つ)」と書きます。これだけでも「辛く苦しいこと」を連想できます。また、語群の「シ」は「癇癪を起こす」というような例文を思い浮かべることができれば、「悲しい」より「憎しみ・怒り」に近い言葉ではないかと考えることができます。中学入試において、語句問題は、「知識」を問うと思われがちですが、思考力も問われています。この問題から「未知の語句に出会ったとき、子どもたちが様々な角度から類推し、思考する力を養ってほしい」という学校からのメッセージを感じました。以上の理由から、日能研東海ではこの問題を『シカクいアタマをマルくする。』シリーズに選ぶことにしました。
算数科
解答
11(㎠)
解説
図のように、もとの三角形(①)の上に、右回りに90度回転させた合同な三角形(②)をかいてみます。同じように、右回りにさらに90度ずつ回転させた合同な三角形(③、④)をかいてみます。すると、外側は1辺の長さが12㎝の正方形、内側は1辺の長さが10㎝の正方形になることがわかります。
12×12-10×10=44(㎠)……①、②、③、④合計の面積
①、②、③、④は合同な三角形なので
44÷4=11(㎠)
と求めることができます。
日能研東海がこの問題を選んだ理由
三角形の面積といえば「底辺×高さ÷2」でしか求められない。そんな思い込みはありませんか。もちろん、これは正しい式です。しかし、条件がそろっていない場合もあります。与えられた条件からわかること、わからないことを明らかにし、限られた情報の中で答えにたどり着かなくてはならない……。子どもたちには、今までの考え方を脱して、新たな視点を持つことが求められます。
この問題は、直角三角形の斜辺と、それ以外の2辺の長さの和から面積を求める問題です。「底辺」や「高さ」がもう少しでわかりそうで、それでもわからないもどかしさがあります。ここで発想を変えて、90度回転させた同じ三角形を4つ組合わせると、正方形ができあがります。多くの人にとって今までにしたことがない考え方ではないでしょうか。条件がシンプルなのに、簡単に求められない……。限られた条件からどうやったら求められるか、ご家庭でも話し合って楽しんでいただける問題ではないかと考えます。
以上の理由から、日能研東海ではこの問題を『シカクいアタマをマルくする。』シリーズに選ぶことにしました。
理科
解答
ウ
解説
リニアモーターカーは、最高時速500㎞にもなり、東京と大阪間を約1時間で移動することが可能だと考えられています。そのような高速で移動することが可能な理由の一つに、次のことが挙げられます。
線路の断面図に設置された電磁石とリニアモーターカーに設置された電磁石が、同じ極を向くことで反発し、違う極どうしは引き合う原理を利用して、リニアモーターカーが地面から浮くことで、地面からの抵抗がない状態で移動できるということです。
図ウに注目してみましょう。図の左側では、リニアモーターカー断面図のS極と、線路断面図の下にあるS極が反発することで浮上するとともに、リニアモーターカー断面図のS極が線路断面図の上にあるN極に引き寄せられることによって浮上します。右側でも同様の原理によってリニアモーターカーは浮上するわけです。
従来の交通機関である電車や自動車は、車輪やタイヤが道路に接触し摩擦が生じることにより、移動のエネルギーに減少が生じていましたが、リニアモーターカーはその摩擦がないので、非常に速いスピードが出せるというわけです。
日能研東海がこの問題を選んだ理由
リニアモーターカーは、高速で移動することのできる乗り物として、近年、日本で建設が進んでいます。リニアモーターカーの利点は、二酸化炭素の排出が半分以下にまで削減できること、磁石の性質を利用した浮上走行のため騒音や振動が少ないこと、それに伴い、沿線の環境への影響を最小限に抑えることができることなどが挙げられます。そんなリニアモーターカーの高速で移動できる原理を、小学生で学ぶ電磁石の原理と関連させ、その理解を試す問いとして、とても興味深い内容だと考えました。以上の理由から、日能研東海ではこの問題を『シカクいアタマをマルくする。』シリーズに選ぶことにしました。
社会科
解答例
車椅子などを利用している人、荷物がたくさんある人 など
解説
通常の改札では利用しづらく、より幅が広い改札を必要とするのは、どのような人たちなのかを考えましょう。駅の改札は鉄道を利用する人が必ず利用するものですが、利用している人の状況はさまざまです。特に車椅子や歩行用の補助器具を使用している人であれば、幅のせまい通常の改札では通りにくいと考えた人が多いのではないでしょうか。また、身体に障害がなくても、状況によっては幅の広い改札の方が便利ということも考えられます。どんな状況が想定できるか、さまざまな視点に立って考えてみましょう。
日能研東海がこの問題を選んだ理由
この問題では、改札の幅の広さの違いが、どのような人たちへの配慮で作られたものなのかが問われています。人々のおかれている環境は、個人個人でまちまちです。育ってきた環境の異なった人々がともに生活していると、社会全体の価値観も多様になっていきます。これからの社会では、さまざまな状況で生活している人々の多様性を認め、共生していくことが求められています。
普段から何気なく利用している施設でも、さまざまな状況への配慮がされているということに気づいてほしいという学校側からのメッセージがこの問いに込められているのではないでしょうか。
以上の理由から、日能研東海ではこの問題を『シカクいアタマをマルくする。』シリーズに選ぶことにしました。
2023年 春
シカクいアタマをマルくする。
国語科
解答
- A オ B ソ
- A ウ B ツ
- A ア B ス
- A ク B サ
- A エ B チ
- A キ B タ
解説
- 前半部分に注目をすると、資料が全焼してしまっているため、真相はわからないという内容につながります。そのため、不明という意味の慣用句、「やぶ」の「中」を選択します。
- 文章から祖父の残した三百万円は大切なものであると読み取れます。そのため、大切なものという意味の慣用句「虎」の「子」を選択します。
- 「小さな畑」「ありふれた野菜」「もうからない」という言葉から、もうけが少なかったことが読み取れます。そのため、非常に少ないという意味の慣用句、「雀」の「涙」を選択します。
- 文章から実験はまだ始まったばかりだという内容が読み取れます。そのため、始まったばかりという意味の慣用句、「序」の「口」を選択します。
- 後半部分に注目をします。「ここ」という指示語が指し、また「困難も多い」という意味につながる慣用句、「いばら」の「道」を選択します。
- 後半部分に注目をします。城の主が受け取らないものとして、挙げられるものを語群から推察します。この問題では賄賂という意味の慣用句「袖」の「下」を選択します。
日能研東海がこの問題を選んだ理由
文章の内容につながる意味を持つ慣用句を選ぶ問題です。問題を解くためには、文章に書かれている内容と、そこから求められる慣用句の意味を把握し、適切なものを選択する必要があります。
慣用句は無限にあります。小学生が知識として定着させている数というのは決して多くはないでしょう。特に、六つの答えのうち、「虎の子」や「袖の下」という慣用句は馴染みのない人も多いと考えられるため、文章の内容から答えになりそうな慣用句を類推する力が求められていると考えられます。例えば【A】の語群にある「虫」や「雀」に比べると「虎」は大きいとわかり、大きい金額が書かれている三百万円に繋がるのではと類推することができます。
このように予め提示されている条件と語群の方向性を組み合わせ、知らない言葉にも類推力を働かせ果敢に挑戦する姿勢を学校が求めていると考えられます。最後まで諦めずに考える子どもの様子が想像できるところに魅力を感じ、以上の理由から、日能研東海ではこの問題を『シカクいアタマをマルくする。』シリーズに選ぶことにしました。
算数科
解答
①→③→②→④
解説
足し算と引き算、かけ算と割り算がそれぞれ逆のことをする計算となっているため、①で足し算をした分を元に戻すためには引き算をすればよいことになります。
しかし、①で足したのは3であるのに対し、②の計算をするときに引くのは6であるため、このままだと引く数のほうが大きく、最初の数より小さくなってしまいます。
そこで、先に③で2倍することにより、最初の数に足した分の3を6にした後に引けば良いことになります。このとき、最初の数も2倍になっているので、④で半分にすれば最初の数に戻ることがわかります。よって、計算の順番は①→③→②→④となります。
日能研東海がこの問題を選んだ理由
計算力は算数の根幹とも言える力であり、すべての算数の問題に取り組むうえで必要なものです。しかし、どれだけ計算の力があっても自分で立式することができなければどんな問題にも正解することはできません。立式する際に重要なのは「+、-、×、÷」といった演算記号の意味を正しく理解し、「なにをしたい・求めたいからその計算をするのか」という式の意味を捉えながら組み立てることです。
この問題においても、ただがむしゃらにいろいろな順番で試してみるのでは正解にたどり着くために時間がかかってしまいます。カードの計算方法を見てみると、①で足された3は引き算をすることで最初の数に戻すことができますが、選択肢の中で引く数は6しかありません。よって、「数を大きくしてから引き算をすればよい」という明確な目的をもって計算の順序を考えていくことが正解への近道になります。
この問題では、望む結果を得るために必要な道筋を考え、論理的に組み立てていくという算数の根幹となる力が問われています。このような理由から、日能研東海ではこの問題を『シカクいアタマをマルくする。』シリーズに選ぶことにしました。
理科科
解答
コ
解説
振り子の形だけから動きを予想するのは相当難しい問題です。文章中に「東西方向(=左右)に3回往復する間に、南北方向(=上下)に2.5回往復しました」とあるので、東西・南北方向に何往復しているのかをそれぞれの選択肢ごとに考えていきましょう。
表にまとめると以下のようになり、答えはコとなります。
記号 | 東西の往復 | 南北の往復 | 記号 | 東西の往復 | 南北の往復 |
---|---|---|---|---|---|
ア | 1 | 1 | キ | 1.5 | 2.5 |
イ | 0.5 | 0.5 | ク | 1.5 | 2 |
ウ | 1 | 0.5 | ケ | 0.5 | 3 |
エ | 1 | 1.5 | コ | 3 | 2.5 |
オ | 1 | 2 | サ | 2.5 | 3 |
カ | 2 | 1.5 | シ | 3 | 2 |
実際にやってみた実験の様子はコチラ
日能研東海がこの問題を選んだ理由
「振り子」は学校の教科書にも載っている、物理の中でもとてもポピュラーな単元で、多くの中学入試で出題されています。
振り子といえば、1本の糸に1個のおもりがつるされているのが普通ですが、この問題では一風変わった振り子となっています。この振り子を、ななめに振らせてみたらどのような軌跡を描くのか、知っている人は少ないでしょう。想像することすら難しいかもしれません。
もちろんこの問題は、条件である東西に3回往復する間に南北に2.5往復することを使って解いていきます。
選択肢の中から、その条件にあてはまるものを選ぶ。その過程で起きるであろう、本当にこんな動きをするのだろうか、という疑問。この問題に出会った受験生は、お家に帰ってから実際にこの振り子を作って、振らせてみたに違いありません。そしてその動きを実際に見て驚く。他にもいろいろ作って動かしてみる。入試に出会って初めて知る謎、発見、感動。入試問題がその学校の0時限目の授業と言われる所以です。このような理由から、日能研ではこの問題を『シカクいアタマをマルくする。』シリーズに選ぶことにしました。
社会科
解答例
表現の自由は保障されているものの、人権を侵害する可能性のある内容が含まれている点。
解説
問題では、ごろうさんの投稿したコメントが提示されています。ごろうさんがSNSに投稿することについては、「表現の自由」として日本国憲法の自由権で認められます。しかし、この投稿には、「あなたは、○○党からお金をもらってこういう投稿してるんですよね」とたろうさんの人権を侵す可能性のある内容が含まれています。以上のことから、公共の福祉(自分自身が持つ権利で他人の権利を侵してはならない)に反する内容を含む情報を投稿した点に問題があると言えます。
日能研東海がこの問題を選んだ理由
近年の中学入試では、SNS(ソーシャルネットワーキングサービス)を題材とする入試問題が見られるようになりました。SNSはインターネット上で、文章や画像、動画などをやり取りできるサービスであり、その利用者は増加しています。しかしその一方で、悪口などで相手を傷つける誹謗中傷などの問題が生じています。
この問題では、日本国憲法で保障されている表現の自由と、人が生まれながらに持っている基本的人権の尊重について考えさせています。受験生はこの問題に取り組む中で、一方の視点だけでなく、別の視点からも自由権とその問題点について向き合ったことでしょう。
選挙権年齢だけでなく成年年齢が20歳から18歳に引き下げられたことで、これまで以上に若者の責任ある行動が求められています。この問題を通じて、情報の発信者は多様な物の見方、考え方を持って行動していかなければならないということを意識するきっかけになると感じました。このような理由から、日能研東海ではこの問題を『シカクいアタマをマルくする。』シリーズに選ぶことにしました。